私は挨拶をして中に入ると、奥の方から、笑顔の歩さんが出てきた。
『百合ちゃん、久しぶり』
『あっこんにちは!突然すみません…あっあと、この前は急に帰ってすみませんでした…』
この前、勝手に帰ってしまったことをどうしても謝りたくて、私は謝った。
『いや、いいんだよ。こっちで話そうか?沙紀を呼んでくるよ』
『はい…』
家政婦さんが私を案内してくれる。
案内された場所はこの前とは違う部屋。
ここも大きな部屋で、
周りを見渡してしまう。
『アイスティーでいいかしら?』
こう家政婦さんが私に尋ねて来た。
『あっすみません…』
私は少し頭を下げて、お礼を言う。
私の前に置かれた、
アイスティーとミルクとガムシロップ。
次第にグラスが汗をかいていく。
『待たせたね、ごめんね』
『あっいえ…大丈夫です…』
『久しぶりね、百合ちゃん』
『沙紀さん…お久しぶりです…』
久しぶりに見る沙紀さんは何も変わっていなくて、あの優しい笑顔のまま。
『百合ちゃんは今日何か聞きたい事あったのよね?』
『あっはい…』
だんだんと緊張してくる私。
なにから話したらいいのだろう?
『あの…由来…』
『由来?』
歩さんと沙紀さんは、二人同時にこう言って、私を見つめた。
『由来を聞かせて欲しいんです!私の名前の由来を…』
次に、歩さんと沙紀さんは、真剣な目を私に向けた。