『百合忘れてただろ?』

痛いところを言われた私は、焦って弁解をするがタクミ君には伝わらないだろう。


『ちっ違うよ!考え事してたの!』


『そうなの?ふーん』


ほら、私を怪しい笑みで見つめる。


『もう…やめてよ!!』

タクミ君は私の心を読めるみたいだ。


『光輝の事でも考えてたんだろ?』


『うん…まぁね!』



『正直だな、百合は。そういえば最近、光輝が彼女といるとこ見ないな…』

『え?』


移り行く街並みが、高級住宅街へと変わっていく。
もうすぐタクミ君の家に着くという知らせだ。


『最近見ないんだよな。まじで。気のせいかもしんないけど』



『そっか…』



私は下を向き歩いて行く。
ふと横を見るとタクミ君の姿はなかった。


『あれっタクミ君?』



『百合、俺ん家ここ。
行きすぎ!』



『あっごめん!』



私はタクミ君の方へと戻り、タクミ君の家へと踏み入れた。
二回目となっても、
まだ慣れないタクミ君の家。


『何回見ても綺麗な家~』


『そうか?まぁ入れよ』


『おじゃましまぁす』