光輝に謝りたくても、
なかなかタイミングがなかった。
光輝は学校が終わると直ぐに帰ってしまうし、
連絡先は、ずっと前に消えてしまったから。
一回電話が来た以来、
連絡を取っていなかった。
登録をし忘れて、消えてしまったのだ。
そんな何も出来ないまま、日は過ぎていった。
『夏休み怪我とかすんなよ~!課題出せよ!じゃあ、良い夏休みを!』
担任の先生が、今学期最後の言葉を私たちに言った。
『百合!またプールの事連絡するわ!じゃあバイバイ!』
『あっうん!バイバイ!』
ゆかは今日も疾風君と帰って行った。
もう既に教室には光輝の姿はなかった。
『今日も謝れなかった…もう無理なのかな…』
―ガラガラッ…
『ゆーり』
『えっ…』
教室に入って来たのは、タクミ君。
私は驚きを隠せない。
そうだ、今日は歩さんに話を聞く約束をしていた日だ。
『あっ!今行く!』
私は元気に教室を出て行った。