私に修の温もりがいつまでも残っていた。


『ありがと…修君…』


暗くなった世界に、溢れる言葉。

その言葉は、切なくて、悲しい…でも温かい言葉。
《ありがとう》
家に帰って来ても、やっぱり修君の事が気になってしまう。
光輝が好きだと言って、修君を断った自分。

そんな自分が…
悔しい。

必ず幸せにならなくてはと、思った。

修君を傷つけてしまった。
この手で。
私は、修君に直接言えなかった事をメールで言った。


《ありがとう…私頑張るね。百合》


そのメールの返事は返って来なかった。


…いよいよ夏本番に差し掛かってきた。
蝉も鳴き出してきた。
かき氷も出始めてきた。もうすぐ夏休み。


『百合~!』


『何~ゆかぁ~?』


ゆかは未だ疾風と絶好調。
ケンカを一度もした事なく、毎日ラブラブのようだ。
私の憧れのカップル。


『夏休み何するん?』


『夏休みかー…』


私は遠くを見ながら、夏休みの事を考えた。


高く昇る入道雲。
ふわふわしていて、
思わず掴んで食べてみたくなる。