学校がもう少しで終わる時刻。

今は掃除の時間だ。
私は箒で教室を掃いていく。


『修君…本当に来てくれるのかな…』


独り言をぽそりと呟くと、教室に誰かが入ってきた。


『…何だよ。修が好きになった?』


『光輝…』


それは、光輝。
明らかに不機嫌な様子だ。


『好きになった?』


『…何で?何でそんな事聞くの?光輝には関係ないじゃん』



可愛くない私。
こんな言い方しか出来ない。


『知らねぇ。ただ気になるだけ!』



いつもより冷たい口調の光輝に怯えることなく、私は言葉を零していく。

『気になる?私が?』

『ちげぇよ!修が可哀想だなって!百合の性格気付いたら嫌だと思うから~』


嫌みったらしく言う光輝。
私はそれが無償に腹が立った。



『何それ…ムカつく!
意味分かんない!』


意味が分からない光輝の発言に腹が立つ。
多分光輝は冗談で言っているのだろう。
いつもなら冗談なら冗談と言ってくれる。
だから光輝?
早く《冗談だよ》って言ってよ。


『…………』


光輝は何も言ってくれなかった。


『もういい。光輝なんか知らない!』


私は箒を掃除道具箱へ入れ、教室を出ていった。