電源ボタンを押した瞬間、チャイムが鳴った。


―キーンコーンカーンコーン…


この音と同時に、英語の先生が、教室に入ってきた。
そして最初に出席をとりはじめる。


『百合!百合!』


『もぉ何?』


光輝がペンで私の腕をつっついてきた。
私はペンを動かすのをやめて、光輝の相手をする。


『今日修と会うん?』


『何で?』

『べっつに~』

『もう!意味が分かんない!』


次に私の肩を叩いた人は後ろのゆかだ。
私は後ろを振り返る。


『百合!英語の宿題やった?』


『あっ!やってない!』

『今日当たるで?』


『嘘~…最悪!ゆかやった?』


私は涙目になりながらゆかを見る。
英語は苦手なのだ。


『今なら見せたるで?』

『ありがと!』


私はゆかからプリントを貸してもらい、必死になって単語を写していく。
ふと光輝を見ると、顔を机に伏せて、寝てるみたいだ。

でも今私は、光輝の相手をしている暇はなかった。


光輝、またあなたは悲しい瞳をしているの?



『ゆか!ありがとう!助かった』


ゆかのおかげで、先生に怒られる事はなくなった。



『本当ありがと~!』


『ええよ!今度お返ししてな!』



『はぁ~い!』



50分の英語の時間は、簡単に過ぎて行った。