…部屋中に音楽が流れる。目覚ましの音だ。


『ん~…』


目覚ましを探して、スイッチを押した。

『朝…か…』

私は昨日の泣き疲れた重たい体を起こし、顔を洗いにいく。


蛇口を捻ると冷たい水が出てくる。
私はその冷たい水で顔を洗う。
いつもと同じ動作。


『目…良かった…腫れてなくて…』


昨日あんなに泣いた目は、全く腫れていなかった。
あっ…ママと楓に謝らなきゃ…心配かけたから。

私は朝食を作っているママの所へと行った。


『ママ…』


『…百合…大丈夫なの?』


『昨日はごめんね。もう大丈夫だから。あっ楓は?』


リビングには楓の姿がなかった。


『楓は朝練でもう学校に行ったわよ』


『そっか…ありがと。着替えてくるね』


私は再び部屋へと戻る。

『…今日…大丈夫かな?大丈夫だよね』


ドレッサーの鏡に写る自分に問掛ける。

そして笑顔をしてみた。
《泣いた分笑えばいい》

昨日パパが私に言ってくれた言葉。


泣いた分だけ笑おう。
光輝に会っても、普通にして、笑顔でいよう。

これが今日の私の一日の目標だ。