…桜がヒラヒラと舞う。

今年も綺麗に桜が咲いた。

あの秘密の場所に──…

『ほら、笑!百合!こっち向いて!』


僕はカメラのレンズ越しに二人の姿を見る。


『優~まだ?』


『おし!撮るよ!』


僕はタイマーのボタンを押し、二人がいる桜の木の下へと走って行く。



『笑って!』



─カシャ─…


初めての家族写真は、
とても綺麗に写っていて、今もリビングに色褪せる事なく、飾られている。


笑──…百合─楓…


僕の最高の妻。
僕の最愛の子供。




…ゆっくりと私はパパの過去から現実へと戻ってくる。


『パパ…ママは…素敵な人ね…百合さんの事をちゃんと受け止めて…
私に百合って名前をつけて…ママは忘れて欲しくなかったんだね…百合さんの事を…ずっとパパに覚えてて欲しかったんだね…』


『笑は…俺を救ってくれた…素敵な人だ…
あの時、笑に会ってなかったら、百合は産まれていなかったからね…』



『運命って…すごいね…やっぱ運命ってあるんだね…』