僕が話し終わると、
世界は暗くなっていた。

暗い世界に、笑の涙の輝きが、僕には見えた。


『笑──…』


『優?辛かったね…』


笑は僕をそっと抱き寄せ、頭を撫でてくれた。

僕はまた涙を流すんだ。

『辛かったのかな…
でもとっても幸せだった…』



『空の上で…百合さんはきっと見守ってくれているよ…優は強くなったね…偉い…偉い…』


笑はこんなちっぽけな僕を誉めてくれた。


こんな無力な人間を、
偉いと言ってくれた。

笑は、僕を救ってくれたんだ──…


『俺不安だったんだ…
俺の事…全て受け止めてくれる人なんかいないって。でも…笑と出会ってまだ間もないけど…笑なら…笑なら信じれるって思った…』


『優?私…受け止めるよ?私に出来る事…全部やるよ?安心して…優…』


『ありがと…笑…』


僕はゆっくり笑から離れて、薬指の指輪に手をかける。



『優?何してるの?
大事な指輪じゃない…』


僕は迷わない。


僕の中の太陽が、僕の進む道を照らしてくれている。

僕は素直にその道に進むんだ。


多分これは──…


百合が教えてくれた道だから。