オレンジ色の空も、
この街も、
この秘密の場所も…

何も変わらない。
変わったとしたら、僕の心だ。
笑を見ていると、安心して、ドキドキとする。

こんな気持ちは、百合やナナ以来だ。

忘れかけていた感情が──…今蘇る。


『で?話って何?良いこと?悪いこと?』


『いや?それはどっちだろうね?』


『良いことだといいけど!』


『笑?話してもいい?
俺の過去を──…』



百合?話してもいい?
君との過去を──…
現在の人に──…


僕は沈む夕日と、見えかける星達と共に、話し始めた。


百合との過去を─…

現在に蘇らした。

笑は、何も言わず、ただ必死になって聞いてくれた。


途中で涙を流しながら、途中で笑顔を溢しながら。

そして、そっと僕の手を握ってくれた。
久しぶりに感じる人の体温──…

笑の体温は優しくて、
温かくて…僕は涙を流した。

笑にちゃんと伝わったかな…
百合との思い出を、
ちゃんと伝わったかな…

笑は…今どんな気持ちだろうか──…