──…歩と話してから一ヶ月後。

あれからいろいろと考えた。
そして僕は何故かここへと来ていた。

夕方5時過ぎ。
目の前には大きなビル。
そう、ここは出版社フォトフレンズ。
笑を待っていた。


貰った名刺を握りしめ、ただひたすら待っていた。

次々にたくさんの人が会社から出てくる。


僕は見つけた。
笑の姿を。

同僚と話している笑を。
笑は僕の姿に気付いたせいか、同僚と別れ、僕の方へと歩いてきた。

満面な笑顔を浮かべて。

『来てくれたんだ!でも久しぶり!もう来てくれないかと思った…』



『ごめんね?…ちょっと話がしたくて』



『話?私で良かったら聞くよ!』



『萩原さん、ありがとな』


『萩原さんってやめてよ!笑でいいから!』



『じゃあ笑!ありがと!』


『まだ何も聞いてないし!変な人~。どこいく?』


『俺達が…出会った場所にしないか?こっからだと少し遠いけど…』



『いいよ?じゃあ行こっか!』



僕達は秘密の場所へと向かう。

今日僕は心に決めていた。

今日笑に全てを話す…と。

幻滅されてもいいから…

現実の人に過去の人へ、百合のことを─…