『で?話って何だ?』
さっきまで笑顔だった僕の顔が、真剣な顔へと変わる姿に、歩は少しだけ戸惑ったようだ。
『優?』
『なぁ…歩…俺って恋しちゃだめなのか?』
『えっ?』
『百合を愛している…今でも。でも…百合はこの世界にはいない。
この前、この人と出会ったんだ…』
僕は歩に笑の名刺を見せた。
その名刺を歩は手に取り見る。
『萩原…笑?』
『うん、彼女に会うとさ、何か癒されるんだよ。辛いモノがすーって消えるんだ。彼女の笑顔を見ていると…もう一度見たいって思うんだ…
これって変か?俺…おかしいかな?』
『いや?全然おかしくねぇじゃん!優…それは恋なんじゃねぇの?
優は忘れかけてるんだよ』
『恋?でも俺には百合が…』
『優にはキツイ言い方かもしんねぇけど…小林は過去の人だ。お前は今の人だ。過去の人を愛してどうなるんだ?もう戻ってこないんだぞ?
今の人を愛せよ…』
『百合は過去の人…』
『別に、思い出してもいいと思う。でも時間は過ぎてるんだ…優?その事をちゃんと考えろ?』
百合との思い出がグルグルと僕の頭を駆け巡る。
百合は過去の人なんだ──…