「あら…来てくださったのね、赤城さん!」


『…は、はい』




脅迫したくせに…。


白々しくもそんなことを言いながら、胡桃坂さんが静かに歩み寄ってきた。


右手には、薄ピンク色の液体が注がれたグラスを持っている。




「お招きありがとうございます、胡桃坂さん」


「お料理の方、大変美味しくいただきましたわ」


「胡桃坂さんがお召しになってるドレス、素敵ですわね」




皆が口々に、どれも似たような内容の言葉を胡桃坂さんに投げ掛けた。


当の彼女は口元を少し緩めて、はにかんだような表情をしていた。


……悪魔の笑み。


心の中でそう毒づき、あたしはバレない程度に顔を逸らした。




「皆さんに気に入っていただけて、本当に嬉しいですわ。どうか素敵なクリスマスをお過ごしになってくださいませ」




恭しくも胡桃坂さんが頭を下げると、周りのクラスメイトたちも慌てて頭を下げていた。


顔を上げた胡桃坂さんは、突然くるりとあたしの方を向いた。




びくっ…!