これでもかと着飾った胡桃坂さんが、スタンドマイクを片手にステージに立っていた。


…なんていうか。


単体で見れば上品なのに、ごちゃごちゃに乗せすぎて逆に下品に見える高級食材、みたいな…。


縦ロールの髪の毛はいつもより丹念に巻かれていて、それが余計に性格のキツさを顕にしていた。




「皆様、ようこそお集まりくださいました。心から感謝しておりますわ」




にっこりと嘘臭い笑みを携えて、胡桃坂さんはぐるりと辺りを見回した。




『(……ん?)』




今、一瞬だったけど……顔、顰めた…?


理由がわからず、あたしは小さく首を傾げた。


……まぁどうせ…なにか気に食わないことでもあったんだよね、そう勝手に自己完結させた。




「本日は聖なるクリスマスです。窓の外をご覧ください。空から祝福をするように、雪がはらはらと舞い落ちてきて……それはそれは素敵な情景です。今宵は最高のパーティーになりそうですわ」




なんだか尤もらしい、それらしいセリフを並べていた。


…どれもが虚言だと思ってやまないのは、あたしだけなのか。




「それでは皆様、グラスをお取りになって―――――乾杯!」





チリィン…ッ!



グラスとグラスがぶつかって、小さな鐘の音を鳴らした。