『……コンビニのケーキじゃ、嫌ですよ』




あたしの発言に蕪城先生はきょとんと目を丸くして、それから盛大に吹き出した。


廊下に聞こえますよ!と何故かあたしが宥めるはめになる。




「はははっ!おう、任せとけ。めちゃめちゃ美味いやつ食わせてやるよ」




指先で涙を拭いながら、蕪城先生が笑った。


約束。


あたしと蕪城先生の、2人だけの約束。




『(……あたしってこんなに女々しかったっけ…?)』




でもそんな自分が嫌いにはなれなくて、あたしは無意識に笑みを浮かべていた。


蕪城先生があたしを見てにまにまと笑っていることに気付き、慌てて口を一文字に結んだ。




『…て、ていうか先生!』




先生とクリスマスケーキを食べに行けることに、ものすごーっく喜んでいた。


……と、悟られたくなくて、あたしはにたりと意地の悪い顔で先生を見やった。




『クリスマスなのに、あたしとケーキ食べに行くとか寂しいですねぇ?』