一人で舞い上がっていることに気付き、顔が赤くなるのを感じた。
……めっちゃ庶民っぽい反応だよね、今の…!
「そんなに春姫に喜んでいただけて、私たちは嬉しいです」
「これで胡桃坂さんも文句を言えない美しさですわ」
2人は各々に頷き、それから自分のドレスを着るために奥の部屋へ入っていった。
ぽつねんと残されたあたしはふかふかのソファーに腰を下ろし、淹れたての紅茶を口に運んだ。
『…………やるしかない、よね』
そっと一人呟いたそれは、華苗と繭にはまだ言っていないこと。
……あたしは今日、同学年の生徒全員が集まるパーティーで自分の正体をさらす。
大袈裟な言い方かもしれないけど、それを弱味に脅されるくらい……あたしにとっては大事な秘密。
このまま胡桃坂さんの言いなりでいたくないし、それに……。
『(……約束、したから)』