『(…あたしが…華苗と繭を、引き合わせてたんだ……)』
そんな恥ずかしいことを2人に言ったなんて、一緒にいることが当たり前すぎてすっかり忘れていた。
…ああもう、ほんと恥ずかしいんだけど!!
「春姫、できましたわ」
「とても可愛らしいです!」
なんと昨日は学校帰りに連行され、繭の豪邸にお泊まりさせてもらった。
あたしたちが借りている部屋の間取りが100個入っても余るような、大きすぎる家だった。
『へ、変じゃない!?庶民っぽくない!?』
「ふふ、なにを言ってらっしゃいますか」
「とてもよく似合ってますわ、どうぞ鏡の前に」
華苗が手配してくれたドレスアップコーディネーターの方と、繭が手配してくれたメイクアップアーティストの方が数人。
朝起きた瞬間から囲まれていて、寝惚けた頭ではなにも理解できなかった。
『うっ……わぁああ…!!!』
鏡の中にいたのは、とてもコンビニでバイトをしているとは思えないあたしだった。
……いや、あたしじゃない。
もっとお嬢様っぽくなってる、あたしによく似た女の子だ。
『すごい!すごーい!ほんとにお姫様とかになったみたい、この輝き…!』
頭のてっぺんから爪先までを彩る数々の装飾品に、ほぅ…と溜息を吐くばかりだった。