ひしひしと痛いくらいに感じているのはきっと―――劣等感。
「わたしも好きだわ、綺麗な歌だもの」
繭も華苗と同じようにふわりと柔らかく、それでいて美しい笑みで頷いた。
……これだから、言えない。
本当は、2人にはあたしのことを知って欲しかった。
でも、もし……
『(…軽蔑されたら?)』
2人は優しくて賢くて、可愛らしくて思いやりがあって。
そんなことをする人じゃないと思っているのに、あたしには勇気が出なかった。
『(………なんか、虚しい)』
お母さん、あたしは今日も窮屈な学校生活を送るよ。
素顔を明かせないまま、上辺だけの関係をただ続けて。
『(……深く、考えすぎかな?)』
皆だって隠し事くらい、あるよね。
いくら友達って言っても、言えないことなんて腐るほどあるよね。
『……そうだよ、ね』
「春姫さん?」
「ぼんやりしてますわ、本当に平気です?」
―――それでも胸が痛むのは、優しくしてくれる2人への罪悪感?
『ええ、少し………寒さが身に堪えましたの』
ああ、痛い。