「ご存知ないでしょうけど、私と繭は…」
「中等部では名高い、喧嘩仲でしたのよ」
クスクスと笑い声を零す2人の言葉に、あたしは呆気に取られた。
え、喧嘩?
………華苗と繭が!?
「ふふ、やっぱり春姫ったら驚いてるわ!」
「私たち、先生方が手を焼かれるほどとても仲が悪くて…」
「繭が」
「華苗が」
「「大っ嫌いだったんです」」
今、お互いの名前を呼び捨てに…!
にこやかに言い放たれたそれは、もはや嘘としか言いようがなかった。
…だって、中等部って。
たった9ヶ月で、こんなに仲良くなれるものなの…!?
『…え、ええっ…?』
2人は呆然としているあたしからそっと離れ、よく似た笑みを浮かべた。
「私たちも包み隠さず、お話しますわ」
「まだ始業まで、時間はございますし」
あたしは何度も、首を縦に振った。