一息に叫んでキッと睨み付けると、蕪城先生は目を見開いて固まっていた。
………絶対、嫌われた。
自責の念が胸の中で渦巻く感触が、吐き気を誘う。
好き、だったのに。
『(…………えっ…?)』
好き?
誰が、誰を?
茫然自失としている蕪城先生を、ちらりと盗み見した。
どきんっ
ムカつくくらい胸が高鳴るのは、確かな事実で。
あたしは今まで目を背け続けていたこの気持ちを、認めざるを得なかった。
『(……嫌われてから気付くとか、ほんとバカじゃん)』
すっかり熱くなった目頭が、ツンとした痛みをもたらす。
先生、先生。
あたしのこと、心配してくれてありがとね。
でも、そんなに優しいからすぐ生徒につけ込まれちゃうんだよ。
これからは、もっと気を付けた方が良いよ。
『(……長すぎる懺悔、だ)』
自分の情けない吐露に泣き出しそうになりながら、あたしは必死に歯を食いしばった。
泣くな、泣くな。
「…………なんだよ、それ」
おもむろに呟かれたそれは、あたしの胸を鋭く穿った。
ずぷりと、深く。
「………はぁ。もう知らねぇからな、勝手にしろ」
あたしの手首の拘束が、呆気なく外れた。