―――どこ、って…。
さすがに口からデマカセの情報に、店の名前まで考える余裕はなかった。
…よし、一昨日行けなかったからあのスーパーで良いや。
『えっ…“スーパーゆきざわ”ですよ?』
きょとんとした顔で見返せば、蕪城先生は無表情であたしを睨み付けた。
…お、怯えてなんかないんだから。
目を逸らしたくなる衝動に駆られながらも、真っ直ぐに立ち向かった。
「…………じ、から…」
『えっ?』
ポツリと先生が呟いた言葉は小さすぎて、あたしには聞き取れなかった。
今度はちゃんと聞こうと耳を傾けた、瞬間。
「“スーパー宮原”15時~16時
“はるひの”17時30分~18時
“スーパーくらしか”17時~17時15分
“MOST”16時30分~17時
“あいむず”18時~18時20分
“スーパーひらさか”17時~18時30分
“Raska”16時30分~17時」
……はっ…?
どれも聞き覚えのある、寧ろ馴染みのあるスーパーの名前だった。
え?なに?
はい?
まさか、…まさかなの?
……タイムセールの時間、全部把握してるのっ!?
「……で、だ。“スーパーゆきざわ”の昨日のタイムセールは例外的に早く15時30分~16時。この時間、まだ学校にいただろ」
ハッと鼻を鳴らしてあたしを見下ろす蕪城先生は、自信にありありと満ちた顔をしているのに―――――全く、カッコよく見えなかった。