―――春姫は、どんなアルバイトをなさっているんですか?
昨日の昼食時。
繭にそう訊かれ、あたしは簡単に仕事の内容を教えた。
おにぎりやお弁当等の商品を並べたり、お会計するためにレジ打ちをしたり。
コンビニを見たことすらない人を相手に内装を説明するのは、かなり難しかった。
『あ、これがシフト表っていって……何時に誰がバイトに出るか、書いてあるの』
宝の地図でもあるまいし。
初めて目の当たりにしたシフト表を食い入るように見つめる2人を見て、あたしは小さく笑った。
……それから。
シフト表を返してもらった覚えが、ない。
『(…2人は昨日の放課後、シフト表を持ったままだと気付いた…)』
“まぁ…春姫はこれがないと、働く時間がわからないんでしょう?”
“そうみたいですわね…。ど、どうしましょう…!見方もよくわかりませんわっ…”
“…あっ!きっと、蕪城先生なら読み方がおわかりですわ”
“何時からアルバイトが入っているのかお聞きして、春姫にメールをしましょう!”
“名案ですわ!つい先ほど春姫はお帰りになったばかり。今からメールすればきっと間に合います!”
そして―――シフト表を持って、あたしが来るとばかり思っていた蕪城先生の元へ。
―――事態は完全に、最悪の方向に向かっていた。