それに、なんだっけ?
自分が一番大切?
『(……やっぱり思った通り、蕪城先生のことは一切バレてない)』
もし知っていたら、自分が一番なんて言わないよね。
あたしが大切なのは華苗と繭と、それから。
―――蕪城先生しか、いないのに。
このまま胡桃坂さんを無視してあたしが先生といたら、絶対に先生のことも芋づる式にバレてしまう。
……そうなる、前に。
『(これであたしと蕪城先生の関係は切れた…)』
…良かった、と。
心から思っている、はずなのに。
『(…っ、…くる、しい…!)』
胡桃坂さんは顔を歪めるあたしに気付くことなく、延々と罵倒を続けた。
…歪む視界の奥で。
光がひとつ、潰えた瞬間を見た。
『(……蕪城先生、ごちそうさまでした。1日しか先生の要求呑んであげられなくて、ごめんなさい)』
…少しは、寂しく思ってくれる?
『(…バッカみたい)』
自嘲の笑みを零し、あたしは眠るように瞳を閉ざした。
―――目蓋の裏には、まだ鮮明にあなたがいるのにね。