「クラスメイトの前で呼び出しをすれば、変な誤解を受けなくて済むと思ったんだ。……裏目に出たな、悪かった」




……先生は、大人だ。


あたしはなにも考えず呼び出しに頷いたのに、先生は色んなことを考慮した上で行動していた。


そうと知っていたら、胡桃坂さんの話なんてしなかったのに。


…気付けなかったあたしが、バカなだけか。




『蕪城先生、あたし気にしてませんから。なんかすいません…』




昨日ほどじゃないけど……ああ、気まずい。


世間体とか噂とか、周りの目とか。


自分を護るためには、こんなにもたくさんのことを意識しなきゃいけないなんて。


なにも考えていないあたしは子供なんだと、まざまざと突き付けられた気がした。




「なんでだよ、謝るのは俺の方だろうが」




ぐしゃり。


髪の毛に蕪城先生の指が絡んで、何度か撫でられた。





……乱暴な手付きなのに、どこか心地好いと思う自分がいる。