じっとあたしが見つめていると、2人は顔を見合わせて首を傾げた。
「……あら、なんのことでしょう?繭さん、わかりましたか?」
「生憎、私は存じ上げていませんわ。華苗さんこそご存知でなくて?」
とぼけた口調でそう言いながら、2人の口元は確かに緩んでいた。
……ああ、そっか。
気付いたら、泣いていた。
2人はとっくに、あたしがお嬢様じゃないって気付いてたんだ。
それなのに、黙ったままのあたしを容認してくれてた。
あたしが2人を騙し続けているとわかっていても、ずっと友達でいてくれたんだ。
『ごめん、なさいっ…!あり、がとっ…!』
あたしはこの学校に来てから、初めて涙を流した。