「どうなさいました?」
「春姫さん、大丈夫ですか?」
いつでも優しくしてくれて、さらにはあたしを守ってくれた。
華苗と繭は、こんなにもたくさんのモノをあたしにくれるのに。
…あたしはなにも、2人に返せてないのに…!
『っあ…ありがとう…!ほんとに、ありがとうっ…』
この時ばかりは、お嬢様のフリをする余裕なんてなかった。
…ただただ、申し訳なくて。
あたしは隠し事をしたままで、それなのに2人は…。
…ん…?
『(……本当に、隠せてるの…?)』
浮かんだ疑問は、確かな形を作っていた。
…もしかして。
『……………気付いて、る…?』
今度は意図的に、素のあたしを曝け出した。
…いや、曝すなんて表現は大袈裟かもしれないけど。
あたしにとってはそれくらい、勇気がいることだったから。
心臓がばくばくと煩く鳴るのを感じながら、あたしは唇を噛み締めた。