呆気に取られていると、蕪城先生がバツの悪そうな顔をした。



…今さら気まずくなったのかな?



先生が話し始めるのを待とうと思い、あたしはぽかんと開いた口を噤んだ。




「…そ、その……赤城」


『はい?』




まさしく恐る恐ると言った動きで、先生が上目遣いにこちらを見た。


…この様子から察するに、本当に気まずいらしい。




「……………俺が悪かった!!」




ガバッ!!




『…ちょ、先生!?』



ひいいいいいいい!!


いきなりなにしてるのこの人!?




ど、土下座なんて!!!




『ああああのっ!?』




「お前に失礼どころか、侮辱に値することをした!……前の学校では身体を要求されたんだ…。それとお前を重ねるのはお門違いも良いところだ!…本当に悪かった!!」





…驚いた。



昨日あんなことをした人が、こんな謝罪をするなんて。


同一人物には見えない…。




『(…なーんだ)』




逡巡することもなかった。


あたしの返事なんて、決まってる。



謝ってくれたら許そうって、昨日から決めてたから。




『…今、先生が謝ってくれたから……許します。あたしこそ、お腹蹴ってすいませんでした』




あまりに必死な先生の姿に、思わず笑ってしまった。



そんなあたしを見て、先生は顔を上げてほっとしたように笑った。








…その笑顔にキュンとしたなんて、口が裂けても言えない。