憂鬱な気分を引き摺ったまま、数学の授業を迎えることになった。
せ、先生の顔が見れない…!
「起立、礼。お願いします」
いつも通りの号令を終え、あたしは俯いたまま着席した。
…蕪城先生の声、聞きたくない。
肘を付いて、掌で両耳をバレないように塞いだ。
これだけでも少しは音が遠くなる。
前からなにやらプリントが回ってくるまで、あたしは只管に顔を伏せていた。
『(…ん?なにこれ)』
数学の発展問題の解説プリントかと思いきや、載っているのは問題だけ。
これから答えを配るのかな?
そう思い顔を上げると、皆は黙々とプリントを解いていた。
……え、えええ、まさか…!
「赤城さん、どうかしましたか?」
恐る恐る視線をそちらにやると、蕪城先生がにたりと笑っていた。
それはもう、意地悪な笑みを浮かべて。
『(しょっ…小テストなのこれ!?)』
よりによって、テストに出題されているのは昨日の授業の問題だった。
昨日の授業なんて、最初から1文字たりとも聞いてない。
これはっ…
あたしが寝てたことへの憂さ晴らし!?
寧ろ、昨日お腹蹴ったことへの復讐!?
やっぱりあいつ、教師失格でしょ!!!