もし学校に着いて早々、自分の席が教室からなくなってたら…!
ど、どうしよう!?
『お母さん、あたし今日学校休む!!』
「いきなりどうしたの?昨日は早退なんてするし……はっ!ま、ままままさか、苛めっ…!」
『行ってきまーす』
相談する相手を間違えた…。
がっくりと肩を落とし、いつも通り愛車(自転車)に跨がった。
…昨日より、ペダルが重たく感じる。
心中とはこんなにも反映され易いものだったのかと、呆れざるを得なかった。
『(…悪い想像ばっかり、容易いなぁ…)』
学校ではもう既にあたしの名前がリストから消えてる、とか。
あたしが偽・お嬢様だってことが知れ渡ってる、とか。
友達が…
『(華苗、繭…)』
友達があたしを、白い目で見てくるとか。
『(否定できないのがまたなんとも…)』
張り詰める、研ぎ澄まされた冬特有の空気を直に感じながら―――懸命にペダルを漕いだ。