「春姫ー?早く起きなさいよー」
『…………………はぁい…』
僅かな熱も掻き集めるように、未だ温もりの残る布団を抱きしめた。
さすが、吐息も色付く12月。
寒すぎて寒すぎて、布団から出られない…。
『(…なーんて…)』
まぁこんなのは、実際のところただの建前でしかなくて。
布団から出たくないほんとの理由は…
『(ぁぁあああっ…!!仮にも先生相手に、なにを…!!)』
蕪城先生に、合わせる顔がないからだ。
『(暴力沙汰!?きょ、教師の腹を蹴飛ばしたなんて……だ、大問題だよ!!)』
一瞬、脳内に自分の顔が掲載された新聞の記事が浮かんだ。
……一面を飾れるかな、なんて。
『(はぁああっ…)』
…こうなってはどうしようもない、か。