『ちょっ…、かっ蕪城先生!』
「はい?なんですか、赤城さん」
くるりと振り返った蕪城先生は、もう少し待てやコラァと言いたげな顔であたしを見た。
『(ひぃぃ!本心が駄々漏れ!)』
急な変化に戸惑いを覚えつつ、あたしは懸命に首を横に振った。
チッ、と舌打ちを残し蕪城先生は再び前を向いて歩き出した。
『(舌打ち!?舌打ちしたよ、この似非紳士!!)』
いますぐ逃避してしまいたい衝動に駆られながら先生の後を着いて行くと、あまり来たことのない場所に辿り着いた。
……ここ、どこだろ?
数学教官室とか言ってた気がするけど……そもそも、そんな部屋があったんだ?
この学校は広すぎるから、地図が全く頭に入ってないのが現状なんだよね。
「どうぞ、赤城さん」
紳士的かつ柔和でフェミニストを連想させる美しい笑みを浮かべ、蕪城先生が扉を開けた。
言われるがまま、室内に足を踏み入れる。
―ガチャッ
部屋に入ってすぐに金属質な音が聞こえ、思わず身体を強張らせた。
何故か、冷や汗が流れていく。
『…あの……か、かぶら………っ!?』
―ガタンッ!!