あたしの通うここ―――私立皇鈴(こうりん)女子学園は、都内で最も有名なお嬢様学校だ。


……超お嬢様学校、と言っても過言ではない。


名前の通り男子禁制の女子校で、同級生の殆どは附属中学校からのエスカレーター組だ。



でもあたしは、周りの皆とは違う。



高校から入学して皇鈴に通い始めた、数少ない―――というより寧ろ、唯一の生徒だ。




『(あと1人くらい外部入学いても良いのに…)』




因みに今は、音楽の授業で校内にある教会へと移動中だ。


今まで普通の公立中学校に通っていたあたしにとっては、あまりにも遠い距離。


周りを窺えば、誰1人として不満そうな顔をしている人はいなかった。


……さすが、既に3年間経験してるだけあるわ。




『(……あー…なんで皇鈴なんかに通ってるの、あたし……)』




言わずもがな、お嬢様とはかけ離れた口調のあたし。





…皇鈴への外部入学を決めたのには、理由があった。