―ピピッ、ピピピッ…
カチッ。
『……………あれ…は、………夢……?』
目覚まし時計を止め、まだぼんやりと霞む頭で昨日のことを思い出した。
コンビニのアルバイト帰りに肉まんを食べてたら、通りすがりの男性に笑われて……。
そしたら車のヘッドライトで照らされて顔が見えて、……それで…。
あの、いつも笑顔で優しくて紳士的で頭が良くて人気ナンバーワンのエリート教師……
『……かぶら、ぎ……せんせい……が………』
…あんな……格好してるわけ……………
『ない!ないよね!ないない!!』
そうだよ!
もしかしたら蕪城先生にそっくりだっただけかも!
びっくりしすぎてあの後、走って家まで帰ってきちゃったから喋ってないし…。
本人かどうか確証もないよ!
うん、そうそう!
『(…いくらなんでも、あの格好はないわ。あれじゃ、あたしと住む世界が一緒だよ……)』
あはは、と苦笑した。
だって、こんな生活してる人があのお嬢様学校にいるわけないよね…。
インスタントラーメン食べたことある人を探したって、1人も見付からない学校なんだから…!
うん、あれは絶対に蕪城先生じゃなかったよ!
一気に覚醒した思考でそう半ば無理やりに結論付け、いつも通り制服の袖に手を通した。