今日も変わらない。
いつもと同じ毎日。
違うのは、コンビニのアルバイト勤務時間の長さだけ。
「春姫ちゃん、先に上がるねー」
『はいっ!お疲れ様でした!』
現在―――
午前0時27分
『(あたしは1時までだもんねー)』
あたしより早いシフトで働いていた美紀(みき)さんが、手を振って店を後にした。
この時間帯のお客さんは少ないため、今から1時まではあたしと店長の山室(やまむろ)さんの2人だ。
「春姫ちゃん、前から言ってるけど……こんな遅くまで大丈夫なのかい?」
山室さんは、人の良いおじさんって感じだ。
うちの事情も知っていて、よく余ったお弁当を皆に内緒でくれる。
『大丈夫ですよ!両親もわかってくれてますし』
いつもお世話になってる山室さんにこれ以上心配をかけまいと、以前より上手くなった作り笑いを見せた。
苦笑した山室さんは、それ以上なにも言わなかった。
『(………今日は雪が降りそうに寒いなぁ…)』
ドアが開く度に、冷たい北風が店内に吹き込む。
いくら近所とは言え、帰りも自転車なのは辛い…。
ぶるりと身体を震わせてから、疎らにやってくるお客さんの会計をした。
ふと人の波が途切れた頃に時計を見れば、1時を少し過ぎていた。
「お疲れ様、春姫ちゃん。肉まん持っていっていいよ!」
や、山室さん…!!
この寒い時にそんな温かいものを恵んでくださるなんて…!
『ありがとうございます!いただきます!』