あのあと、胡桃坂さんはパーティーの招待客全員に謝罪をしていた。
迷惑を掛けた、と。
まさかあのプライドの塊みたいな胡桃坂さんが謝ってくるとは誰も思っていなかったようで、皆して恐縮していた。
「………赤城さん」
…きた。
気まずさから、あたしは胡桃坂さんの顔が見れないでいた。
あたしの写真を見た時、皆はびっくりしていたけど……蕪城先生の登場で、そんなことは吹き飛んでしまったらしい。
ついさっきまで、クラスメイトからはアルバイトとはどういうものかなどと質問攻めにあっていた。
……良かった。
あたしの秘密と、蕪城先生の秘密。
お互いに守っていこうと思っていたそれは、呆気なくも同日に露見したのだった。
「………わ、わたくしの方がずっと可愛いんですからね!!」
はっ?
『え、あの、なんの話…』
「だ…だから!!調子に乗らないことよ!……色々悪かったわね、ごめんなさい」
意味のわからない謝罪に、思わず吹き出した。
『ぷっ…あははは!…うん、胡桃坂さんが可愛いのは知ってるよ』
「!!……と、当然ですわ!」
…意外と悪い人じゃないのかも。
顔を真っ赤にして俯いている胡桃坂さんにシャンパンのグラスを渡した。
「…仕切り直しですわね」
『ん、そういうことで』
「『メリークリスマス!』」
チリィィンッ
グラスが生み出した鐘の音は、あたしたちを祝福してくれているような気がした。