「これで茶番劇は終わりだ、胡桃坂」
蕪城先生はマイクをスタンドに戻し、くるりと踵を返した。
それにならい、一足先に華苗と繭がステージから下りてきた。
あたしは肩の荷がどさりと落ちたような安堵に包まれた。
……良かった。
本当に、良かった…!
あたしは思わず泣きそうになりながら、2人の元に駆け寄った。
「……蕪城先生」
「なんだ?」
「好きな方が……いらっしゃるんですよね?」
「…あァ、お前のよく知ってる可愛い女だ」
「………どこが良いんだかさっぱりわかりませんわっ!」
「ははっ!…今度は内面にまで惚れたやつと恋をしろよ」
「……あなたよりもーっと素敵な殿方と結ばれますわ!」
「…ったく、威勢だけは一人前だよな」
胡桃坂さんとなにか話していた蕪城先生が階段を下りて、ゆっくりとこちらに向かって来る。
……2人でなんの話をしてたんだろ。
全然聞こえなかったから、気になるなぁ…。
でも、その前に。
『蕪城先生っ!!』
まずはクリスマスケーキを食べに行きたいです、先生。