胡桃坂さんがハッとしたように顔を上げた。
その表情は、信じられない…と訴えかけている。
「な、なら……あなたたちは…!」
「その通りですわ!蕪城先生は3割の株を」
「華苗と私で1割ずつ所持していますわ。…もちろん、私たちのお父様が、ですけどね」
満足そうに微笑んだ2人を見て、胡桃坂さんは噛み付くように言い返した。
「おかしいですわ!!あなたたち……艷倉さんと炎王寺さんならわかります。ですが、美葛さんにそんな財力は…!」
「……わ、私が譲渡したんだ…」
「お、お父様…?」
意外にも胡桃坂さんの発言を覆したのは、彼女のお父さんだった。
でも、無償で持株の3割を譲渡…?
あたしにはよくわからないけど、何千万って価値がするんじゃ…?
「婚約する代わりに寄越せと、俺が言ったんだ」
蕪城先生はにやりと意地悪な笑みを浮かべると、胡桃坂さんに向かって一歩踏み出した。