パラパラ。


ヒラヒラ。


はらはら。



まるで、雪みたいに。



何百枚とある写真が、会場に降り注いだ。


心臓を掴まれたような動機に駈られながら天井を睨み付けると、胡桃坂さんの執事が懸命に写真を蒔いていた。




……終わっ、た。




「春姫!!お気を確かに!」


「なんてことをっ…!胡桃坂さん、あなた!!」




2人の声が、遠い。


あたしの名前を呼んでくれているのに、返事ができない。


聞こえない。


なにも。


どうしよう
どうしよう
どうしよう
どうしよう
どうしよう
どうしよう
どうしよう
どうしよう
どうしよう
どうしよう



どうしたら、良いの。



会場にいる全員が写真を拾い上げ、そこに映る姿に小さく悲鳴を上げる。


顔を歪め、軽蔑するような表情をあたしに向ける。



なにが。



…なにがいけないの?


金持ちが、そんなに偉い?


あたしはここにいちゃいけないの!?


学費を払って、皆と同じ場所にいるのに!?



なにがいけないのよ!!




「春姫、春姫っ…」




華苗と繭だって、お金持ちだもんね。


あたしの気持ちなんて、ああ、どうしよう。


どうしよう。
どうしよう。


早く、早く、

説明しなきゃ。


自分の口から伝えるって決めてたのを見透かすみたいに、胡桃坂さんはあたしのことを暴露した。


もしかして、バレてたの?


だから、こんな、タイミングで。


ああ、どうしよう。


このままじゃ、お母さんの夢も、大切な友達も、



―――好きな人、も








全部、なくなっちゃう。









「きゃああああっ!!」




あたしに向けたのとは質の違う悲鳴が、耳に届いた。




「あ゙ー…くそっ。わかってたけどよ、ギャアギャアうっせぇなァ……」






……なん、で。