吐き出す息が、白い。




12月の寒風が容赦なく、あたしの身体に吹き付けた。




『(あー、さっむ…!)』




自分自身を抱き締めるように腕を伸ばし、暖を取ろうとマフラーに顔を埋める。


……ただの移動教室でこんなに歩かされる学校は、ここくらいじゃないだろうか。




「春姫さん、お風邪を召されてるの?」




赤城 春姫(あかぎ るな)―――紛れもなく、あたしの名前だ。




「まぁほんと、とても寒そうだわ。大丈夫かしら?」




2人の友人があたしの顔を両側から覗き込み、とても心配そうに眉を下げた。



ええ寒い、寒いですとも。



所詮はポリエステルだか綿だかよくわからないものが混在したシャツですからね、制服の下に着てるのは。


残念ながら、貴女たちみたいにシルクとかカシミヤとか……いかにも高そうな原材料じゃないんです。




『いえ…平気ですわ。ご心配お掛けして申し訳ありません』








もちろんそんなこと―――口が裂けても、言えませんけどね!