"ひとつ"になった時の不安も嘘かのように、アキラは相変わらずな態度で接してくれてた。


それが何より嬉しかった。


よくアキラは


「俺の大切な彼女さん」


メールで言ってくれる。


私はアキラの"彼女"なんだ。


その言葉で私は安心感を得ていた。


私達が"ライブチャット"で知り合ってから1ヶ月が立とうとしていた。


「今日会いに行くね」


アキラからのメール。


いつものように胸騒ぎが止まらなかった。


─今日は何着て行こうかな─


アキラにとって、私は離したくない自慢の彼女になりたかった。


お化粧にもオシャレにも、いつも以上にこだわってしまう。


今日は出会った記念日。


付き合った記念日を祝うのはわかるけど、出会った記念日、初めて逢った記念日。


これからいろんな記念日祝うのかな?


と思うと笑けてきた。


─アキラらしいな─


そんな事を考えてると、何故か急に奥さんの事が羨ましくなった。


アキラに何十回、いや何百回もの記念日であったり、サプライズしてもらったんだろ。


いつの間にかアキラの奥さんに対しての嫉妬が心の中に出てきてる事に気がついた。


─私、何考えてるんだろ─


結婚している彼氏。


今までにも不倫は幾度かあった私は、初めからどこかで惚れすぎたら駄目。


ブレーキはかけなきゃ。


そう思ってた。


今回もそう思っていた。


そんな気持ちで居てたのに…


アキラは何だか違うんだよね。


だんだん惚れこんでゆく自分が怖くなった。


今日もアキラは相変わらずのサプライズと笑顔だった。


「次の記念日は、初めて会った日だね」


「うん」


「記念日いっぱいだね」


「1ヶ月目だけは大切だからね」


アキラは記念日を大切に思っててくれた。


ありがとう。