翌日――
玄関を出ようとすると
兄貴が走ってきた。
「兄貴、どうした?」
「携帯忘れた!!良樹、取ってきて!お願いしますっ」
「…しょうがねえなあ、いいよ」
「まじか?サンキュ!俺の部屋のベッドの上にあるから!」
部屋にいくと
白いスライドの携帯が
兄貴の言っていた場所にあった。
「ブブーッブッ…」
携帯を取ろうとすると
いきなりバイブがなった。
“中西夏美”
そう、表示されていた。
出ようか、出まいか
迷うまえに
自然と通話ボタンを
押していた。
「…あ、もしもし」
「もしもし!!あ、一樹??」
酷く慌てている様子で
俺を兄貴だと思ってるようだ。