――――――

iPodに入っているアイツとの思い出の曲を聞きながら、ついさっきの出来事を思い出した。


良樹――。
つか、なんで夏美から連絡があったって知ってたんだ?

俺はふと思い立って、
携帯の着信履歴を開いた。

“中西夏美”
そこには、アイツの履歴と、
“通話時間3分10秒”
という時間。

確かに、連絡が来ている。けど、
俺の携帯だろ?
てゆーか、
俺が玄関にいるんだから、良樹がわざわざ電話に出る必要無くないか…?
いや、きっと善意で出たんだろう。

でも、良樹って
そんなやつだったっけ?

あ、そんなやつだ。

てか、電話に出たくらいで何で焦ってるんだよ、俺!
いくら嫉妬深くても
さすがに弟に妬くのは変だろ。
だいたい、
自分の兄貴の彼女に手をだすはずがない。
いや、そんなことは――……許されるはずない。

「あー!何なんだよ…!」


携帯をポケットにしまって、
走った。