「みさきさんはさぁ……」



そのまま、耳元で囁くように問いかける。



「俺のこと、好き?」



「なっ……」



明らかに狼狽えている。


聞かなくたって、ちゃんとわかってるよ?


わかりやすすぎるくらい、態度に表れてるしね。


本人は気づいてないけど、誰が見たって明らかじゃん。


だけどさ……



「好き?」



もう一度、聞く。


時々、無性に確認したくなるんだ。


ちゃんと、口に出して言ってほしい。


みさきさんの口から聞きたいから。



いつも、俺ばっかり。


好きだ好きだ、言いまくってきた。


そりゃ、言葉にすりゃいいってもんじゃないけどさ。


たまには、言ってほしい。


特に今は…聞いて、安心したい。



……言うまで、絶対に離してやるもんか。


そう決意して、腕の力を強めたとき……



「……き」



消え入りそうな声が聞こえた。