「あれっ、悟くん?ってことは……」
茉奈さんがこっちに視線を送っているのは明らかだ。
カーテンの奥の、この状況なんてきっとお見通しだろう。
「私たち、きっとお邪魔だと思うわ」
少しの沈黙のあと、茉奈さんは楽しそうに言った。
「へっ?」
「行こう。」
「えっ?先輩っ?」
わかっていない悟を引っ張って、部屋を出ていく茉奈さん。
さすが。察しがいい。
ホッと胸を撫で下ろして、みさきさんの口から手を離したとき……
「そうだ、航ちゃん!
鍵は閉めておいたほうがいいよー?」
ドアを閉める直前、
茉奈さんは、ありがたい忠告を忘れなかった。