秘密のキスはすごく幸せなものだったけど、もうあのときとは違う。
触れるだけの“目覚めのキス”じゃ、満足できなくなってしまった。
唇を離してみさきさんを見れば、火照った顔にとろけそうな瞳……
この上なく可愛い顔で俺を見ていた。
……これは、無理。
考えたら、
俺は昨夜“おあずけ”をくらったままじゃん。
ここで耐えるのは拷問以外の何でもない。
ごめんね、保健室のおばちゃん。
俺は、約束を守れそうにありません……
懺悔しつつ、
みさきさんの首筋に顔を埋めた。
「ちょっ……」
ようやく意識がはっきりしてきたのか、みさきさんの“無駄な”抵抗が始まる。
「ここ、学校……」
俺を押し退けようとする、その細い手首をしっかり掴んで、動きを止める。
簡単なことだ。
遠くでチャイムの音が聞こえた気がしたけど、俺は構わず続けた。
そんな時……
「みさきーっ!いるー?」