そして、あのとき、
俺は覚えてしまったんだ。
キスの感触、
その幸福な味、を。
しかも、相手は大好きな女の子。
またしたい、と思うのは当然のことだった。
中学2年生。
思春期まっただ中っていうか、そういう年頃でしょ?
もちろん、“彼氏”になるのが手っ取り早いことはわかっていた。
でも、まだ早い。
まだ、みさきさんは俺を男としては見ていない。
わかっていたから。
あせって失敗して、近くにいられなくなったら大変だ。
「好き」とは言いまくってたけど、
真剣な告白はまだ先にしよう、そう思ってた。
だったら、どうやって“また”の機会は訪れるのか……
考えるより先に、
チャンスはやってきた。