……気づいてない、のかな?
ドキドキしながら、俺はみさきさんを見ていた。
普段からあんまり表情が読めない人だからなぁ……
「帰らないの?」
ぼんやり立ち尽くす俺を、みさきさんが振り返った。
「か…帰ります」
思わず敬語になった。
怪訝そうに見てくる瞳は、いつもと何ら変わりはない。
さっきのは…気づかれてないな。
「一緒に帰ろ?」
確信した俺は、みさきさんに駆け寄った。
そして、そのまま一緒に帰ったんだ。
……なつかしいなぁ。
あのときは、俺もまだ可愛かった。
家に帰ってからもドキドキがおさまらなくて、あの日は眠れなかったもんなぁ……