「美人で賢くて、料理もできて…おまけにスタイル抜群とくれば、もう言うことないじゃん。
そんな彼女をずっとひとりじめしてるなんて……
ホント、お前が羨ましいよ、航」
……そりゃ、頑張ったもん。
心の中で呟く。
俺は、頑張った。
振り向いてもらうためにどれだけ努力したことか。
今だって……
「…って、先輩、寝てるじゃん!
いいのか?あんなに堂々とサボってて。」
悟の声に、容易に想像がつく姿。
見学してるフリをして、木陰でうとうとでもしているんだろう。
いつものこと。
いつでもどこでも平気で眠っちゃうからなぁ。
本当に、危ないったらありゃしない。
少しは自覚してほしいものだ。
ま、でも今日は仕方ないか。
学校に来ただけでもよしとするしかない。
「昨夜、ほとんど寝てないからね。たぶん1日中あんな感じだと思うよ」