「おっ!先輩発見!」



窓の外を眺めていた悟が楽しそうに声を上げた。



「3年生は体育か。いいなーっ」



羨ましそうに呟くと、



「彼女、見なくていいの?」



机に伏せている俺のほうを振り返った。



「んー……」



返事をしつつも、顔を上げる気力がない。


今、俺はものすごく眠い。


とにかく眠りたい。


幸いにも、この時間は自習。


寝るなら今のうち……



「おまえ、朝からずっと寝てるよなぁ……」



俺の様子を見て呆れながらも、



「いやーっ、それにしても、
いつ見ても綺麗だよな。みさき先輩はっ。」



再び窓の外に視線を移したらしい。



「さすが、“お姫様”と呼ばれるだけのことはあるよなぁ」