聡子さんとまどかがうちに越してきて、家族4人の生活が始まって。
私はすぐに、気づいてしまった。
――この家に、私はいらない。
小学生の頃から頑張ってやっていた家事は、聡子さんがやってくれる。
掃除、洗濯、料理……
私がやる必要はない。
「おかえりなさい」って出迎えて、
甘えたりワガママを言ったり、時にはケンカをしたりする“可愛い娘”は、まどかひとりで十分だ。
私がいなくても、
誰も困らない―――
そこから、
おかしくなったんだ。
家にいても落ち着かない。
家族の輪に入れない。
父親と話せなくなって、
聡子さんの前では、愛想笑いしかできなくなった。
まどかとも、必要以上に関わらなかった。
全部が、私の思い過ごし。
考えすぎ。
そう思えなくもなかったけど、頭ではわかっていても心がついていかない。
一度感じてしまった疎外感を、拭うことはできなかった。
そんなとき、
あの人と出会ったんだ……